【登壇レポート】「決済の瞬間」を守るだけでは足りない。BNPL特有のリスクと、ペイディが挑む不正対策の最前線

2026/10/15

2026年秋に開催された「ペイメント・セキュリティフォーラム 2026 FALL」にて、VP of Operationsの猿渡英華が日本後払い決済サービス協会(BNPL協会)を代表して登壇。「BNPL特有の不正利用とFraud対策の最前線」をテーマに、決済業界が直面する新たなセキュリティの壁について語りました。

本記事では、その講演内容やペイディの最新コラムをもとに、急速に拡大するBNPL特有のセキュリティ構造と、巧妙化するサイバー犯罪に立ち向かう多層防衛のリアルに迫ります。

VP of Operations 猿渡英華

1. クレジットカードとBNPL:「狙われる場所」決定的な違い

「決済の不正対策」と聞くと、多くの人はクレジットカード番号の盗用防止を思い浮かべるかもしれません。実際、クレジットカード不正被害額(2025年実績:510億円:日本クレジット協会統計)の約93%はカード番号の盗用によるものです。そのためカードの防御は「決済の瞬間(番号の入力時)」に強固な壁(3-Dセキュア等)を設けることが中心となります。

しかし、そもそもカード番号が存在しないBNPLでは、攻撃の標的が「決済情報」から「アカウント・アイデンティティそのもの」へと移行します。

BNPLにおける攻撃面(アタックサーフェス)は、決済の瞬間にとどまりません。

* アカウント作成時の「なりすまし登録」や「合成ID」

* 偽造書類を用いた「eKYC(オンライン本人確認)の突破」

* 認証コードを騙し取る「フィッシング」や「リアルタイム中継・ソーシャルエンジニアリング」

* 信用スコアが高く利用枠のある「既存アカウントの乗っ取り(ATO)」

このように、ユーザーの登録から決済、配送、支払いに至るライフサイクル全体が攻撃対象となるのです。

2. 「点」ではなく「線」で守る:Continuous Risk Assessment

では、どのようにして広大な攻撃面を守るのでしょうか? 講演の中で提示されたのが、ライフサイクル全体でリスク信号を取得し続ける「Continuous Risk Assessment(継続的なリスク評価)」というアプローチです。

単一の情報だけで判断するのではなく、以下のような多角的なシグナルを組み合わせ、リアルタイムで総合評価を行います。

*Identity / Phone Signal 属性情報の整合性や過去の不正履歴

*Device Signal デバイス識別子やエミュレータ検知

*Behavioral Signal 操作速度や入力パターンの異常

*Transaction Signal  短時間での複数試行や転売性の高い高額商品の購入

リスクが低い場合はスムーズに決済を完了させ、異常行動を検知した場合のみ追加認証を求める「リスクベース認証」を採用することで、使いやすさ(UX)と安全性(セキュリティ)の両立を実現することが大切になってきます。

3. システム×運用の融合と、業界横断の連携へ

不正対策は「AIやルールを導入して終わり」というシステムの問題ではありません。刻一刻と変化する攻撃手口に対応するためには、人による調査(オペレーション)と現場の知見をシステムに還元する運用ループが不可欠です。

ペイディでは多種多様なロジックを準備して24時間態勢で監視を行っており、不正率の高いパターンは未然にブロックします。また、フィッシング詐欺などの被害に対しては、警察との迅速な捜査協力や、加盟店・配送事業者・金融機関など業界の垣根を越えた情報連携を強化しています。

まとめ:進化し続ける安全対策で、すべての人に安心・安全なお買い物体験を

「不正はなくならない。弱い場所へ移動する。だからこそ一つの壁を高くするだけでなく、サービス全体で守り続けなければならない」

講演の最後、猿渡はこの言葉で締めくくりました。

ペイディは「お買いものに『めんどくさい』はいらない。」というミッションのもと、誰もがスムーズで快適に買い物を楽しめる体験を追求しています。しかし、その「使いやすさ」を陰で支えているのが、機械学習を用いた高度な不正検知システムや24時間365日のモニタリング体制、最新のeKYC(オンライン本人確認)技術といった堅牢なセキュリティ基盤です。   

サイバー犯罪の手口が巧妙化するなか、ペイディは常に先回りした安全対策をアップデートし続けることで、「使いやすさ」と「絶対的な安心」を兼ね備えたあと払い決済サービスの未来を切り拓いていきます。