「あと払いで返品無料」が実現した、試着感覚のお買い物体験。
課題
成果
「後払い」によって、無料試着サービスが可能に
今でこそ「試着可能・返品無料」をうたうECサイトは多く存在していますが、当時はほとんどない状況でした。お客様がECサイトを利用するうえで大きな足かせとなっているのが、「実際にモノを見てから購入することができないこと」。特にファッションの場合は、サイズ感や素材感などが他の商品に比べてより重要です。そのために試着があり、リアルな店舗では当然無料で試着を行えます。MAGASEEKでも試着サービスを始めようとしていましたがサイトシステムの都合上、一度「購入してもらってから返品」という流れが必要でした。
ECの場合、届いた商品が気に入らなければ返品できます。このとき、クレジットカード決済ならば、返品後に決済がキャンセルされるため支払うお金は実質0円です。しかし、一度は「支払い」のプロセスが行われています。しかし、お客様のなかには「一度自分の目で見てから、お金を払いたい」、「そうでないならECは不安」という方もいらっしゃいます。代引きであっても受取時に一旦料金を支払わないといけません。
商品を受け取るのに、支払いが必要ない後払いのシステムが必要になりました。そのときに見つけたのがPaidyでした。Paidyを利用して購入し、商品が気に入れば翌月に支払えばいい。支払いのプロセスなしで試着ができますし、「実際に商品を受け取ってからお金を払いたい」というニーズに応えられるようになりました。
Paidyを検討したときに、類似サービスもいくつか試してみました。最終的にPaidyに決めたのは、何よりもユーザビリティの高さです。実際に私が登録したとき、自分のメールアドレスと携帯電話番号を入力するだけで決済が完結しました。一方で、類似サービスでは、メールアドレスと携帯電話番号に加え、住所や氏名などの個人情報も入力する必要がありました。やっと入力を終えたと思ったら全角と半角が混合しており登録内容にエラーが出てしまいました。正直、「それくらい自動で変換して欲しい……」と思ったものです。ほかにも原因不明のエラーが出てしまい、決済が完了するまでに結局10分もかかってしいました。我々は消費者目線に立ったサービス開発をしていますから、どちらを選ぶのかは一目瞭然でした。
課題であった若年層の新規客が増加
弊社の課題として「新規顧客をいかに増やすか」があります。Paidy導入前の市場規模を見ると、アパレルの全市場規模のうち、ECが占めるのは全体の1割ほどでした。このシェアをもっと伸ばしたいと思っています。そんなかで重要なのが「新規顧客」なのです。
Paidy導入後、全体感としては売上が伸びているように感じています。2019年5月でPaidy導入から1年経ちましたが、直近の四半期(2018年の4~6月期)と昨年同期の数字を比較すると、売上自体が増加しています。具体的には「クレジットカード利用」と「Paidy+代引き」を比べると後者のほうが5%くらい増えています。そもそも代引きの利用は減っているので、その分Paidyのシェアが上がっていることになります。そして、Paidy利用者の半分強が新規のお客様でした。売上増加の要因は決済手段の選択肢が増えたことだけに起因するものではありませんが、感覚としてPaidy導入が寄与している印象です。
特に24歳以下の若年層の利用では2~3割と確実に増えています。受注件数の比率で見ると、全体の注文のうち約10%弱のお客様にPaidyが利用されています。
この24歳以下のお客様は、我々が苦手としているターゲット層。Paidy導入によってアプローチできたことを大変嬉しく思っています。MAGASEEKは30~40代をメインターゲットにしており、若年層向けの施策はどうしても後回しな状況でした。その点、決済方法を増やすことでこれまでアプローチできない層にもリーチできています。
特に若年層はクレジットカードを所有していない方も多くいます。以前までクレジットカードを持っていない層への解決方法を上手く提示できていませんでしたが、Paidyが一つの解決策となったことが若年層に利用してもらえた一つの要因だと思っています。
現在はメインターゲットではない若年層も5~10年後には弊社のメインターゲットになりますから、早いうちからアプローチできたのは嬉しいですね。今後は10%弱と言わず15%くらいは送客してもらえるようになると嬉しいです。
リスクが増えるなかでの「安心感」に期待
2019年にも新たな決済サービスがたくさん登場しました。しかし、なかには不正利用や情報漏えいの事件も発生しています。リスクを不安に感じるお客様もいらっしゃる。Paidyのような「クレジットカード情報の入力不要」というポイントは大きなメリットになると感じています。Paidyには安心感を強く打ち出し、ぜひ認知度を拡大してほしいと思っています。
リスクという意味では、EC自体に不安感を持っている層もいます。「ECを利用したことない」という知人がいるのですが、理由を聞くと「ちゃんと商品が届くのか不安」だからだそう。彼のように実際に受け取ってからお金を払いたい層も一定数存在しています。Paidyは、そういった通販に対して不安を感じる層にも上手くアプローチできるかなと思っています。通販利用者の不安を取り除くことに、しっかり取り組んでほしい。これは弊社のみならず、社会としてもPaidyに期待することだと思っています。
また2019年8月に弊社で運営していたアウトレット専門サイト「OUTLET PEAK(アウトレットピーク)」をMAGASEEKに統合させました。OUTLET PEAKで対応していた決済手段は「クレジットカード払い・代引き・d払い」。つまり、Paidyを導入していませんでしたが、統合によって、OUTLET PEAKのユーザーだった方にも使ってもらえると思っています。統合で取り扱い商品数も増えますから、ここでも新規や若い層のお客様を増やしていけたらと思っています。
インタビュー実施:2019年7月