老舗干物店のEC販売売上前年比1.6倍のきっかけはPaidy


課題

お客様にとって利便性が高く、かつ、決済手数料率が低い決済サービスを検討。
arrow

成果

干物に馴染みがない20~30代の世代への購入へ繋がり、売上も前年比1.6倍に。

創業明治43年の老舗干物店がPaidyを導入した理由


これまで弊社のメインはBtoBの業務用干物でした。ホテルや旅館、飲食店、スーパーチェーンに向けて出荷していましたが、大手から零細企業までプレイヤーが多く競争は熾烈。業務用はどうしても価格で競争せざるを得ない領域です。そこで、2010年から直接お客様に買っていただけるBtoC のEC事業をスタートさせました。きっかけはヤフーショッピングが出店手数料を無料にしたから(笑)。この領域に出ていくのは初の試みでしたが、何ごとも挑戦です。

現在ではヤフーショッピングや楽天市場、メイクショップなどのショッピングサイトに出店しています。決済方法はクレジットカードや銀行振り込みなど多数揃えていますが、手数料率が高いと感じていました。弊社のような2~3枚で250円の干物を販売している会社では利益が軽く吹き飛んでしまいます。

そのなか、MakeShopから「Paidyという決済方法が使えますよ」との案内がきました。詳しく見てみると手数料率も低く抑えられていて、使い勝手が良さそうです。「決済方法は多いほうがいい」と思って導入しました。

私自身、51歳という年齢ですからあまりスマホで買い物をするほうではありません。正直、当初は「本当に使う人いるのかな?」と半信半疑でした。Paidyの営業担当さんからも「食品系のECサイトでのPaidy導入実績は、あまり多くない」と伺っていました。

ですが、蓋を開けてみたら、メイクショップを利用する方の約3割がPaidyを使って決済していて非常に驚きました。スマホサイトとPCサイトを利用する方の割合は6対4でスマホのほうが多いです。スマホでネットショッピングがあたり前の時代になったんですね。スマホシフトが非常に進んだのを実感しています。

20~30代ユーザーがギフトで干物を贈る

これまで、弊社のECサイトで干物を購入される方は、40代以上の方が中心でした。一方、Paidyを使って干物を購入される方は20~30代が中心です。特に母の日や父の日にギフトとして贈る方が多いですね。またお中元やお歳暮、敬老の日など、どなたかにプレゼントするために干物をご購入いただいています。

売れ筋は「おまかせの5,000円干物セット」です。弊社の干物の売りはなんと言っても魚種。定番のアジやホッケはもちろん、鮎や黒ムツ、タカベ、イサキやタチウオなどスーパーではあまり見たことがない種類の魚を小田原漁港から私が直接仕入れて干物にしています。5,000円のセットならば12~3匹は入るので、さまざまな干物の味を楽しむことができます。

直接お客様に届けるEC事業を行うなかで、やっぱり子どもが食べて「美味しい!!」と言ってくれる干物を作らなければ……という想いを強く持っています。魚は旬の時期に水揚げされるものが一番美味しい。その旬の時期を見計らって買い付けて干物を作っています。アジやホッケなどの定番モノはどこの地域でも食べられる干物ですから、モノがいい魚だけを仕入れていますね。中小企業は大手と同じことをやっていてはやはり勝てませんから(笑)。

その甲斐あって、お陰様でリピートのお客様も増えてきました。昨年に比べ、今年はその1.6倍のペースで成長しています。質のいいモノを作って適切なサイトと決済手段を選んでもらうことによって売上は伸びていくと実感しています。

もっと事業を伸ばすために、決済手段は多様な方がいい

今後はよりEC事業に力を入れて、業務用と小売の比率を1対9にしていきたいと考えています。「スーパーで干物を買った経験はありますか?」と聞くと、年配の方は「はい」と答えても、若い世代は「スーパーでは買わない」と答えると思います。実際、スーパーで売っている干物はピンキリでなかには大きくて見栄えがいいだけの商品も少なくありません。年配の方も「このスーパーで仕入れている干物は美味しいから」と買うより、昔から干物を食べ慣れているからという理由だと思います。

とはいえ、今後若い世代の方が一切「干物を買わない」というわけではありません。小田原旅行のお土産品として購入したり、「ここの干物屋さんは美味しいから!」と信頼してくださり、わざわざサイトに訪れて買ってくださる。その候補として弊社の干物が挙がっていけるようになっていきたいです。

弊社がもっと事業を伸ばしていくには、やはりEC事業をどう伸ばすかが鍵です。「決済手段はお客様が選べるように多いほうがいい」という想いは変わっていません。新たな販売チャネルを考えるときにも、クレジットカード決済以外の受け皿となる後払い決済の存在は欠かせないと思っています。

そのためにも私はEC事業者向けのセミナーに通ったり、商工会議所のセミナーも多く参加していますね。同じように中小企業で出店者の方と情報交換を行うのはとても有意義です。そこに参加している方の業種はさまざまで、おせんべいや革財布、模型や植木鉢などさまざまなECショップがありますが、やはり売れているECサイトはお客様のことを第一に考えてモノを作り込んでいますね。

インタビュー実施:2019年8月

有限会社山市湯川干物商店

代表取締役社長
湯川 仁さん
乾物
干物
山一干物